アマゾン薬局上陸、"街の薬剤師は不要"になるか 日本で処方薬のネット販売への参入を検討

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3つ目のキーワードは「調剤外部委託」です。現在、患者から処方箋を受け取った薬局は、その薬局内で調剤しなければならないと薬機法(薬機法は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称)で定められていますが、2024年の法改正で調剤業務の外部委託が解禁される可能性があります。

「調剤外部委託」が解禁されれば、薬局は処方箋を受け付けた患者に対して服薬指導は行うものの、調剤や配送を外部機関に任せることが可能になります。

「アマゾン薬局」は、将来的には薬の在庫を持ち、「調剤や配送を専門に行う外部機関」を目指しているのかもしれません。2023年の参入は、そのための第一歩とも考えられます。

街の薬剤師の仕事はどうなるのか

アマゾンを通し、ネット上で処方薬を買えるようになった際、もっともメリットを享受できるのは、生活習慣病などで定期的に同じ薬を処方してもらっている患者でしょう。

高血圧や脂質異常症などで、毎日の服薬は欠かせませんが、比較的症状は安定しているといった人たちです。「アマゾン薬局」は、おそらくこのような定期薬の利用者をメインターゲットとして想定しているのではないでしょうか?

今まで、アマゾンはさまざまな業界を取り込んで、「アマゾン・エフェクト」と呼ばれる業界再編の波を作ってきました。今後の業界再編の流れは避けられないものになるでしょう。

これからは、薬局は選ばれる時代に入ると思います。降圧剤など定期的な薬を服用している人、薬局に行く時間がない人々は「アマゾン薬局」を利用します。

一方で街の薬剤師の仕事は変化をして残り続けます。対面で確認をしながら薬の説明を受けて安心感を得たいという人は、街の薬局を利用する。二分化されていくと思います。

今後、街の薬剤師の仕事は、薬を調剤する「対物」業務から、服薬指導などの「対人」業務へのシフトが求められていくでしょう。

とはいえ、日本で「アマゾン薬局」が調剤業界の脅威となるには、まだまだ時間がかかりそうだというのが私見です。

アマゾンは、アメリカにおいて、2020年にオンライン薬局「Amazon Pharmacy(アマゾン・ファーマシー)」を立ち上げ、処方薬の販売を開始しています。

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