金正恩氏がミサイル試射に“娘"を帯同した理由 北朝鮮「代を継いで」自衛力を高めるという意志か

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北朝鮮のこういった軍事的行動は、おおよそ事前の計画に沿って行われるものだ。ただ、2022年10月に9回、今月11月にはすでに6回と、さらなるハイペースで発射している。11月3日に発射された弾道ミサイルは、日本政府が一時「太平洋を通過する可能性がある」としてJ-アラートを発令したが、実際には通過しておらず、発射は失敗とされていた。

米韓合同軍事演習と首脳会談に反発

この2カ月間で発射回数が増えたのは、1つは米韓合同軍事演習が行われたことが大きい。北朝鮮はこれまで、合同軍事演習に強い警戒感を示し、ときには強い口調で中止を求めたこともある。アメリカのトランプ政権時には大規模な合同軍事演習が行われなかったが、現在のバイデン大統領が再開させたため、とくに強く反発しているようだ。

米韓合同軍事演習に対応することは、北朝鮮にとっては軍事的にも経済的にも大きな国家的負担を強いる。だが、「正面対決には正面対決で」と題する11月19日に配信された記事のように、北朝鮮にとっては何が何でもそれ相応の軍事的対応をしなければいけないという事情がある。

また、11月には東南アジアでの国際会議で日韓、日米韓の首脳会談が行われた。ここでは、北朝鮮のミサイル発射をはじめ軍事的行動を非難する内容が声明に盛り込まれた。

このような動きに対応するためにも、ミサイル発射という強硬な姿勢を示さざるをえない。それは、北朝鮮にとっては、国内向けにも「アメリカや韓国、日本による北朝鮮への敵視政策には、自国を守る自衛的な行動をとらざるをえない」という事情があるようだ。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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