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西側に「文化闘争」を仕掛けるプーチン大統領 19世紀ロシアの「反西欧主義」の復活を狙う

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11月4日、筆者と政治学者で慶応大学の片山杜秀教授、そして訪日中のフランスの人口学者で歴史家のエマニュエル・トッド氏と3時間半、話し合った。その内容は12月刊行の『文藝春秋』に掲載される。この鼎談でトッド氏は、ロシアのプーチン大統領がヴァルダイ会議で行った講演と討論は国際情勢の現状分析と今後の予測にとって極めて重要になると述べ、鼎談のかなりの部分をプーチン発言に関するやり取りが占めた。

トッド氏もロシアによるウクライナ侵攻は国家主権に対する侵害で国際法に違反していると批判する。しかし道義的な判断と切り離して、ロシアの内在的論理(それはプーチン氏の発言という形で言語化されている)をつかむことが情勢を分析するうえで不可欠だと考えている。筆者もトッド氏のアプローチに共感する。

ロシア文化を忌避する動きに強い懸念

それでは、ヴァルダイ会議におけるプーチン氏の講演に関する紹介と分析を続ける。プーチン氏は欧米で、ロシア文化を忌避する動きが生じていることに強い懸念を表明する。現状は東西冷戦期よりも悪いというのが、プーチン氏の認識だ。

冷戦の最盛期、体制やイデオロギー、軍事的対立のまっただ中にあっても、相手の文化や芸術、科学の存在そのものを否定することは、誰にとっても思いもよらないことでした。教育、科学、文化、そして残念ながらスポーツ関係にも一定の制約が課せられていました。

しかし、当時のソ連と米国の指導者たちは、少なくとも将来にわたって健全で実りある関係の基礎を維持するためには、相手を研究し尊重し、相手から何かを借りることによって、人道的領域を繊細に扱うべきであることを理解していたのです。(10月27日、ロシア大統領府ホームページ、ロシア語から筆者翻訳)

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