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プーチンは米国側の価値観に対抗する原理を追求 多元性の担保を主張するプーチンの欺瞞

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  • 佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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ロシアのプーチン大統領は10月27日、モスクワ郊外で行われたヴァルダイ会議の講演において、ソ連崩壊後に形成された欧米中心の一極的な国際秩序が解体過程にあるとの認識を前提にしてこう述べた。

ソ連の崩壊は、地政学的な力のバランスも破壊しました。欧米は勝者の気分になり、自分たちの意思、文化、利益のみが存在する一極的な世界秩序を宣言しました。

今、世界情勢における西側の独壇場は終わりを告げ、一極集中の世界は過去のものになりつつあります。私たちは第2次世界大戦後、おそらく最も危険で予測不可能な、しかし重要な10年を前にして歴史の分岐点に立っているのです。欧米は単独で人類を支配することはできないが必死にそうしようとしており、世界のほとんどの国々はもはや我慢の限界に達しているのです。これが新時代の大きな矛盾です。

古典の言葉を借りれば、上流階級はそんな暮らしはできないし、下層階級はそんな暮らしはしたくないという、ある程度革命的な状況です。

このような状態は世界的な紛争、あるいは紛争の連鎖をはらんでおり、西側諸国自身を含む人類にとって脅威となるものです。この矛盾を建設的に解消することが、今日の主要な歴史的課題です。

転換は痛みを伴いますが、自然で必然的なプロセスです。未来の世界秩序が目の前で形づくられていきます。そしてこの世界秩序において、私たちは皆の意見を聞きあらゆる視点、国家、社会、文化、世界観、思想、宗教的信念の体系を考慮に入れ、誰にも1つの真実を押し付けることなく、ただこの基盤の上に、運命、すなわち国家、地球の運命に対する責任を理解し人類文明のシンフォニーを構築しなければならないのです。(10月27日ロシア大統領府ホームページ、引用はすべてロシア語から筆者翻訳)

実体的な生産力を持つロシア

日本を含む西側先進国では格差が拡大している。まさに「上流階級はそんな暮らしはできないし、下層階級はそんな暮らしはしたくない」という状況だ。経済的には米国とドイツが勝者で、それ以外の西側資本主義国は衰退しつつある。

とくに輸入する石油、天然ガスなどのエネルギーや食糧、肥料の高騰と円安によりインフレが進行しているのに賃上げが期待できない日本の状況は深刻だ。米国や英国は、金融と情報産業のプラットフォームを形成することで巨万の富を手にしているが、物を作り出す産業力はない。

今回のウクライナ戦争でわかったのは、GDP(国内総生産)では韓国程度の水準のロシアが、西側連合から本格的な制裁を受けていても持ちこたえているという現実だ。それは、ロシアが燃料資源や穀物を生産できるだけでなく、兵器を含む実体的な生産力を持っているからだ。

ロシアや中国という実体的な生産力を持っている国家の強靱さを過小評価してはならない。米国と政治面、軍事面、経済面で極めて良好な関係を持つイスラエルはロシアに対して制裁を科していない。ロシアの国力をイスラエル指導部が冷静に見極めて判断しているからだ。

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