歌中の言葉は置き換え自由
──本のタイトルに使う短歌は即決だったのですか?
実はもう1つ、10年前の作品「心から愛を信じていたなんて思いだしても夢のようです」も考えていました。離婚を経た今だから作れた歌。愛に疲れた人は思い当たるだろうな、でもあのときは本当に信じていたんだ、そんな気持ちを詠んだ。ところがデザイナーさんから、愛を信じている若い人には響かないのでは?と言われ、確かにその視点はなかったなと。
「毎日のように手紙は来るけれど〜」は20歳の頃に100首ほど一気に作った中の1つで、高校の国語の教科書にも載った代表作です。当時の文通相手からの手紙を待ち焦がれて書いた歌。最近短歌専門誌で、ある若い歌人の方が、手紙が来ない切なさより、毎日のように手紙が来るのがうらやましい、と評論してくれた。そうか、個人情報問題もあって、今の時代郵便物が毎日山ほど来るわけじゃないんだ、と気づいた。手紙にピンと来なければ、迷惑メールやLINEに置き換えて読んでほしい。
──歌人は言葉一つひとつにこだわっているはず、と思い込んでいましたが、そこは置き換え可能と。
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