新田恵利さん「悔いなし介護」母との6年半の軌跡 夫の介護を見据える加藤綾菜さんと本音対談
加藤:私のためというより、闘病していた1年間で「死ぬ直前まで舞台に立ちたい」という気持ちがますます強くなったようです。コロナ禍のせいで舞台の予定が全部なくなってしまったので、次に舞台に立つときにフラフラしないようにと3年間、1人でコツコツと地道に頑張って鍛えてきたことにはわが夫ながら頭が下がります。
新田:自分の目標がしっかりしている人は強いですね。
オムツを自らはいて知った大変さ
加藤:80歳になるのは正直、ちょっと恐怖なんです。いきなり体調が大きく変わってしまうんじゃないかと……。
新田:85歳までは変わらない人が多いですよ。
加藤:あと5年しかない!
新田:いやいや、普通の人で85歳だから、ストイックな加トちゃんならもっと元気でいられますよ。
加藤:大きな病気を何度もしているので、医師からも「今度倒れたら危ないので、絶対に怒らせないように」と言われているんです。なので、ケンカしても私は悪くないのにすぐ謝ります(笑)。
新田:愛だな~。私も母を喜ばせたくて、近場のドライブなどに連れ出したりしていました。商店街を連れて歩いたり、植物園に行ったり、食事を楽しんだり。でも、道に段差があったり、エレベーターが遠かったり、駐車場があるレストランが少なかったり、大変でしたね。オムツをしていてもやっぱりトイレに行きたいんですよね。トイレがどこにあるか、出かける前に下見したりしていました。
加藤:私もですが、新田さんもオムツをしてみたことがあるんですよね? 自分もしてみて初めてその大変さがわかりますよね。
新田:出そうと思っても全然出ない(笑)。母の気持ちがわかりました。自分が介護するようになって、その視点で見ると、全然シニアに優しい世の中じゃないなと感じることも多かったです。
母が白いお茶碗にくっついた白い米粒が同化してよく見えなくて、残していたんです。中が白くなくて軽いお茶碗を探したんですが、当時は全然売っていなくて。それでシニアに優しい食器をプロデュースしたこともあるんですよ。