セブン&アイ・ホールディングスの経営陣はそごう・西武の売却交渉をなりふり構わぬ方法でまとめようとしている。その行方には暗雲が漂う。
「最終的な契約の文書を確認したいので見せてもらえないか」
「契約書は英文ですから読めないと思います」
「私は英語ができるから読める。だから今すぐ契約書を見せてほしい」
「でも30〜40ページもあるので読むのには時間がかかります。私の説明を信じていただければ大丈夫です」
複数の関係者によると、10月26日、セブン&アイ・ホールディングスで開かれた「意見交換会」でこんな会話が繰り広げられたという。
意見交換会とは、井阪隆一社長以下セブン&アイの幹部と社外取締役が出席し、取締役会で話し合う議題について事前に調整するもの。この日は、セブン&アイ傘下の百貨店、そごう・西武の売却に関する議題の検討が中心だった。
そごう・西武の売却をめぐってセブン&アイは、株主であるアメリカの投資会社、バリューアクト・キャピタルからコンビニエンスストア以外の不採算事業の売却を迫られたことを受けて売却を決断。2回の入札を経て7月にアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループに優先交渉権を付与した。
交渉期限延期で社外取締役には不信感も
フォートレスの案は、家電大手のヨドバシカメラを西武池袋本店や西武渋谷店といったそごう・西武の旗艦店を中心に導入するというもの。
優先交渉権を獲得したのは、買収に当たって提示した金額が3000億円超と最も高かったからとみられている。しかし、交渉期限の8月29日を迎えても話し合いは一向にまとまらず、期限を複数回延期するなど行き詰まっていたことから、一部の社外取締役たちは不信感を抱いていた。
そんな雰囲気を察知したのか、入札の実質的な責任者であるセブン&アイの経営推進本部金融戦略室長を務める小林強氏は会の冒頭、次のように述べたという。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら