混迷を極めていたセブン&アイ・ホールディングスによるそごう・西武の売却交渉が決着した。だが、解決されていない問題は多く、将来に禍根を残す形となった。
11月11日、セブン&アイ・ホールディングスは臨時取締役会を開き、傘下の百貨店子会社であるそごう・西武の売却をアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループに2000億円超で売却することを賛成多数で決議した。セブン&アイはフォートレスにそごう・西武の株式を譲渡する。
フォートレスが連携する家電量販店大手のヨドバシホールディングス(HD)は、多額の資金を拠出して、西武池袋本店やそごう千葉店の一部のほか、そごう・西武が渋谷に所有している不動産を取得。傘下のヨドバシカメラを出店させるとみられている。
1月末から始まった今回の売却劇をめぐっては、とかく異例続きだった。入札の運営が拙く、応札した投資ファンドからはクレームの嵐。中には入札自体に不信感を抱いて応札を辞退するファンドもあった。
フォートレスに優先交渉権を付与してからも交渉は遅々として進まず、交渉期限を何度も延期する事態に陥る。そうした混乱は、最終局面で激しさを増した。
揺れに揺れた井阪社長
当初、セブン&アイの経営陣は11月10日に開催する取締役会で売却を決議し、その日のうちに発表しようと考えていた。
決算期末である2023年2月までにフォートレスとの契約をまとめたかったからだ(詳細は11月2日公開の「そごう・西武、売却交渉決着狙うセブンの『禁じ手』」参照)。
ところが、西武池袋本店の土地の一部を所有する西武ホールティングス(HD)の同意を得ていなかったほか、そごう・西武の労働組合への説明も怠るなど、クリアすべき懸案事項が残されていたことについて一部の社外取締役が問題視。
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