44日で辞任「英国・トラス首相」が起こした大混乱 次期首相候補に挙がっている意外な人物
辞意表明への引き金が引かれたのが、19日。スエラ・ブレイバーマン内相が辞任したのである。辞任の書簡によれば、個人のメールで公文書を送ってしまい、「閣僚規範違反」による引責辞任と説明されたが、経済を混乱させても責任を取ろうとしない首相への批判にも見えた。
政権維持は困難との見方が強まる中、20日朝、保守党の平議員で構成される「1922年委員会」の委員長がトラス氏と会見。辞任を勧めたと言われている。同日午後、トラス氏は辞意を表明した。
野党は総選挙を主張
20日のテレビ報道を見ていると、有権者のほとんどが「辞任してよかった」「あれほど市場に損害を与えたのだから、辞めるしかない」などと答えていた。しかし、一部では「もう少し長くやらせてもよかったのでは」「トラス氏を支持していたので、残念」という声もあった。
イギリスの経済紙「フィナンシャル・タイムズ」はトラス政権による「イギリスの信頼性の壊滅」とする見出しで「イギリス国民には総選挙の機会が与えられるべき」とする社説を書いた。野党労働党のキア・スターマー党首も「総選挙で民意を問うべき」と主張している。
イギリスの総選挙は5年毎に行われるため、次は2024年5月になる。総選挙を経ずに、トラス氏が首相になり、次の首相も保守党内の選挙だけで党首・首相に就任すれば、確かに民主主義上、問題となりそうだ。ただ、議会で過半数の議席を持つ保守党は2024年まで待たずに総選挙を行うという法案がもし提出されれば、これに賛同することはなさそうだ。大敗が予想されているからだ。
保守党は来週28日までに新党首を選出予定だ。党首選への出馬は「100人の保守党下院議員からの支持」が条件となっている。24日午後2時までに出馬を表明し、保守党議員による投票で候補者を絞り込む。最後に残った2人に対して、保守党員がオンラインで投票して決める。
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