専門家語る「最強の薄毛対策」ポイントは使用方法 1日10円足らずで頭髪を取り戻せる可能性
オーストラリアのメルボルン大学で皮膚科の教授を務めるロドニー・シンクレア医師は、女性型脱毛症に悩むある患者の治療を行っていた。この患者は頭頂部が薄くなり、その見た目を嫌っていた。
この女性は同医師のほかの患者の多くとは違ってロゲインが効いたものの、頭皮にアレルギー性の発疹が出てしまっていた。とはいえ、ロゲインの使用をやめれば、また薄毛の状態に戻ってしまうことが予想された。
「つまりロゲインをやめるわけにもいかず、治療に行き詰まったわけだ」とシンクレア氏は振り返る。「この患者は治療にとても意欲的だった。外用薬の局所的な塗布で患者がアレルギー反応を示した場合には、アレルギー反応を回避する方法の1つとして、極めて低用量のものを内服させるオプションがあることが当時から知られていた」
学界で報告される数々の成功例
そこでシンクレア氏は、高血圧治療を目的とした高用量のミノキシジル錠剤を4分の1に切り分けて効果が出るか試してみた。すると、シンクレア氏も意外だったと言うが、発毛効果が得られるのと同時に、血圧に悪影響が出ることもなかった。
その後、シンクレア氏はさらに用量を下げていき、もとの錠剤の40分の1でも効果が得られることを確認。その用量のミノキシジルを多くの薄毛患者に使用し始めた。最初に使用した患者は、現在でも服用を続けている。
シンクレア氏は2015年にマイアミで開かれた学会で、低用量のミノキシジルの服用により、連続して100人の女性患者で発毛効果が見られたと報告。
その結果を2017年に論文で発表し、その中で厳密な研究、すなわち患者を低用量のミノキシジル内服群と偽薬内服群にランダムに分けた比較研究が必要だと指摘した。とはいえ、そうした研究は今も実現していない。そうした中で、シンクレア氏が低用量のミノキシジル錠剤で治療した患者は、すでに1万人を超えるようになっている。