なぜ国会議員は「路チュー」してしまうのか 許されること、許されないことの境界とは

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今回のようなケースで「議員同士」、ということも不思議がられるのだが、選挙の苦労、政治活動の悩み、総裁や代表を選ぶ時の一致団結など共鳴共感する場面は多い。身近な存在ということで、言ってしまえば社内結婚のようなものかもしれない。

いやいや、選挙で落選すれば失業者になる、「人生を賭けた博打の世界」だけに、むしろ感情の移入が深いのではないだろうか。野田聖子議員も、海外視察を一緒にした議員と盛り上がり、帰国後結婚した。傷をなめ合い、助け合いの精神がそうさせがちとでもいえば、読者の皆様にはわかって戴けるであろうか。

国会議事堂の敷地内で、所属政党の違う二人が日中キスをしていたと聞いたこともあった。現官房副長官も野党の議員女性議員と最近結婚したばかりだ。つまり、議員同士の恋愛というのは、そんなに珍しいことではない。

国民全体の代表という自覚があるか?

それでも、中川議員は、農水大臣政務官という役職で政府の一員だ。スキャンダルが出れば、内閣に迷惑がかかる。実際、このことが心労につながったのか、週刊誌発売日から二週間の入院が報告された。

病名の発表もなく、期間だけが知らされるのは、腑に落ちない。気持ちはわからないではない。だが、公人であり、国のお役を担っている身だ。上司の林芳正農水大臣も、その上司の安倍晋三首相も辞任に当たらないというが、二週間お休みしても、周囲に迷惑がかかるだけだ。野党の追及もその分延びる。おそらく政務官を辞任することになるのではないかと想定するが、であれば早い方がいい。

今回は、無防備の結果が招いたものだとしかいいようがないが、永田町という半径数百メートルの中で、毎日朝から晩まで顔を合わせていると、議員同士の好き嫌いは、はっきりと分かれるようである。

ある政治家が、「世の中は、敵と味方と家族の三種類に分かれる」といっていたが、嫉妬の関係は嫌というほど見てきたが、仲良くしてもらうことはいいことだと思う。

ただし、今回の場合は一方に家族があるということ、上司の農水大臣の辞任の日ということ、立場が悪いと緊急入院で職務に支障が出ることなど、議員としては、頂けない。

議員には、「国民全体の代表」という自覚を持って頂きたいと願うばかりだ。

有馬 晴海 政治評論家

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ありま はるみ

1958年 長崎県佐世保市生まれ。立教大学経済学部卒業。リクルート社勤務などを経て、国会議員秘書となる。1996年より評論家として独立し、テレビ、新聞、雑誌等での政治評論を中心に講演活動を行う。政界に豊富な人脈を持ち、長年にわたる永田町取材の経験に基づく、優れた分析力と歯切れのよさには定評がある。ポスト小泉レースで用いられた造語「麻垣康三」の発案者。政策立案能力のある国会議員と意見交換しながら政治問題に取り組む一方で、政治の勉強会「隗始(かいし)塾」を主宰し、国民にわかりやすい政治を実践している。主な著書に「有馬理論」(双葉社)、「日本一早い平成史(1989~2009)」(共著・ゴマブックス)「永田町のNewパワーランキング100」(薫風社)、「政治家の禊(みそぎ)」(近代文芸社)など。

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