中央快速線で再注目「2階建て車両」なぜ投入する? 展望を楽しむためか、それとも混雑対策か

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近鉄のビスタカーの歴史は長く、現在まで団体専用車両を含む6車種が登場していて、2013年の運用開始以来、今でも高い人気を誇っている50000系「しまかぜ」も2階建て車両を含んでいる点でビスタカーの仲間である。

一方、国鉄が2階建て車両を導入したのは意外にも遅く、東海道新幹線100系からだった。それまで2階建て車両に消極的だった理由は不明だが、当時の国鉄の状況を考えてみると、「各駅の乗降に時間がかかる」ことや「車重バランスの関係から線路幅の狭い在来線には不向き」という考えがあったのではないかと推測する。よって新幹線車両であれば、その問題も大きくはないと判断したのかもしれない。

100系新幹線は「ニュー新幹線」と呼ばれ、ビジネス色が強く無機質な移動が多かった新幹線に、展望という「旅の楽しみ」を与えた。

「展望」から「輸送改善」へ

ここまで大阪市電1形、近鉄ビスタカー、新幹線100系と紹介したが、いずれも景色を楽しむための「展望車両」という意味合いが強いが、近年のJR東日本をはじめとした各社は「輸送改善」を目的に2階建て車両の導入を行っており、代表例としてはオール2階建て新幹線Max(E1系・E4系)、オール2階建て近郊形電車215系がある。

いずれも通勤ラッシュ時間帯の着席乗車を目指して導入されたもので、平屋から2階席をプラスすることによって座席数を増やすという目的がある。新幹線のMaxE4系は1997年に登場し、基本は短い8両編成(座席数817名)ではあるが、2本つなげた16両編成で運転することで、座席数は最大で1634席となった。

これは高速列車としては世界最大の座席数であり、通勤で需要がある上越新幹線「Maxたにがわ」などでその特性を発揮できたが、近年は就労人口が減り、さらにコロナ禍の影響もあり、2021年に惜しまれながら引退した。

1992年に登場した近郊形電車の215系は、主に東海道線の快速アクティーや湘南ライナーなどで使用され、こちらもラッシュ時間帯の着席率の向上を目的とした運行がされた。しかしながら、駅間が短い通勤区間では不向きであった。

理由は上下階を結ぶ階段を設置するために、乗降口が片側2カ所のみで(当時の近郊形車両の標準は3カ所)、結果的に各駅での乗降時間が長くなってしまい、ラッシュ時間帯において、列車の運行に遅延を発生させてしまうことが多かったのだ。

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