シャープ、赤字転落で金融支援を要請へ リストラを伴う再建計画の実現性がカギ
経営再建中のシャープの銀行融資の返済に懸念が生じている。主要取引行であるみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の2行に対し、金融支援の要請に動いていることが判明。債務の一部を優先株などに振り替える「デット・エクイティ・スワップ(DES)」などの手法を採用し、1500億円規模の資本を捻出する案が出ている。
また大阪・堺市の太陽電池工場売却や広島県三原市のLED(発光ダイオード)工場、同県福山市のセンサー工場を閉鎖するといった見方も浮上。事業縮小や撤退に踏み切り、2015年度以降の再建への道筋を描く狙いがあると見られる。
DES実施の大前提とは
2011年度、12年度に計9000億円もの巨額赤字を計上したシャープ。2013年6月には主力2行の協調融資3600億円の返済期限が迫り、資金繰りに窮した。しかし、2013年度以降の3カ年中期経営計画の達成を前提に、返済期限が2016年3月に延長された。
シャープも2013年秋に公募増資で約1300億円を調達。2013年9月から2014年9月にかけて計3回、3300億円の社債償還を乗り切り、財務危機の峠は越えたと見られていた。
ただし、2014年末時点で依然として返済期限が1年以内の短期借入金は7172億円に上り、前述の協調融資の期限も2016年3月に迫る。本来なら、中期経営計画(2013年度~2015年度)の実行で財務体質改善につなげ、返済原資を捻出する計画だったが、2014年末から頼みの中小型液晶パネル事業が失速。白物家電や太陽電池は円安による調達コスト増が打撃となり、2月には今通期最終赤字に転落すると公表。"返済シナリオ"は狂った格好だ。
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