ウクライナでの激震は、欧州に延びる危険な断層線もあらわにした。プーチン大統領は、ウクライナが、西側を混乱させ分割に至らせる理想的なツールであることを見いだした。
実際にこの1年われわれは、欧州が武力侵略行為に対し、明確な対決姿勢をとるのに難渋している様子を信じがたい思いで見てきた。マレーシア航空17便の、反政府勢力支配地域上での撃墜(この行為で搭乗者298名全員が死亡)がなかったとしたら、米国および欧州連合(EU)が経済制裁プログラムに同意したかどうか、疑わしい。
ロシアが露呈した第1の断層線は、欧州における旧ソビエト圏の国々に見られる。ポーランドやバルト諸国など、一貫してロシアの行動を非難し、しっかりとした対応を要求している国がある。しかし別の国では、指導者たちは早々にロシアの侵攻やクリミアの併合を弁護し、あるいは単にロシアは強力すぎて太刀打ちできないと主張した。
欧州でも同様の動きか
そして、欧州でも同様の動きが生まれている。大陸のユーロ懐疑政党の左派・右派双方が、EUが解散したら設立しようとしている反自由主義政権のモデルとして、プーチン大統領の権威主義的ナショナリズムを支持している。
実際、クレムリンはこれらの政党の多くに資金提供をしている。そして欧州の政府は、プーチン大統領がEU解体のために、支持をカネで買っていることを、手放しで認めているように思える。
ギリシャの財政的問題ではなく、ウクライナで起こることが、欧州および環大西洋連合が持続できるか否かの究極のテストである。ウクライナから延びる断層線は、欧州での戦後の和平および繁栄を支えてきた、根本的な価値を台なしにするものだ。ウクライナの和平が成し遂げられない場合、われわれの国境をはるかに越えて、こうした価値自体の解体が引き起こされる。そして、分断された西側諸国は持ちこたえられない。今が行動を起こす時である。
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