北朝鮮の「ローテク兵器」を買うロシアの惨状 枯渇する弾薬、中国も兵器供給には及び腰

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ケイガン氏は、北朝鮮の手を借りるということは、ロシアが戦争遂行に必要な最も基本的な物資すら製造できない状態にあることをうかがわせる動きだと語る。「クレムリンが北朝鮮など他国から砲弾やロケット弾を購入しなければならない理由はただ1つ。プーチン氏が最も基本的なレベルにおいてでさえ、ロシア経済を戦争のために動員することを避けているか、それができないためだ」

ロシアの軍事供給網を締め上げることは、ロシアを弱体化させるアメリカの戦略の中核を成すものであり、これによりアメリカはウクライナにおけるロシアの戦争遂行を妨げ、同時にロシアが将来的に近隣諸国を脅かす能力をそぐことも狙っている。

新鋭兵器だけでなくローテク兵器も枯渇

ウクライナの戦況とアメリカ政府の開示情報の双方から、ロシアがハイテク兵器に問題を抱えていることは何カ月も前から明らかとなっていた。巡航ミサイルなどの精密誘導兵器による攻撃は高い確率で失敗に終わっている。侵攻の初期段階では、これら精密誘導兵器の半分以上が発射、もしくは標的への着弾に失敗した。

ロシアの精密兵器は在庫も枯渇してきている。軍司令官は精密なミサイル攻撃ではなく、野蛮な無差別砲撃を戦略の軸に据えるようになっており、これによりウクライナ東部の町は瓦礫の山と化している。

ロシアがさらに多くの弾薬を求めるようになったという今回の情報は、ロシアの供給問題が最新鋭の戦車や精密ミサイル用の高性能部品だけにとどまらない可能性が濃厚であることを示している。

さらに、北朝鮮からさらに多くの砲弾を調達しようとしているのだとすれば、ロシアはすでに弾薬不足に陥ったか、今後そうなる可能性があり、同国の軍需産業は軍の需要を満たすのに難儀しているということにもなる。

前出のケイガン氏は「ロシアの軍産複合体の巨大な失敗を示す動きである可能性は極めて高く、ロシア軍には根深くて深刻な影響が及んでいるとみられる」と語った。

(執筆:Julian E. Barnes記者)
(C)2022 The New York Times

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