繰り上げ返済を急ぐ人が気づいていない重要事実 返済期間や支払額減らしてもリスク高まることも

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一方、「繰り上げ返済はお得だからしなくてはいけない」と思い込んでいる人が多いのですが、繰り上げ返済をしていいのは「手元に大きなお金の余裕がある時」に限ります。貯金を切り崩してまで繰り上げ返済を行うのは、住宅ローンの利息軽減以上に家計のリスクを増やす可能性があるからです。

子どもがいる場合は、教育費作りが最優先です。子ども自身が多額の奨学金に頼らなくてもいいように、18歳までには1人につき、入学金と4年間の授業料の400万円程度は貯めておきたいところです。

若いほどこれからお金が必要となる局面が多くなります。そもそも繰り上げ返済をすると団体信用生命保険(返済している人が亡くなった場合返済が免除になる保険)の保障額を減らしていることにもなります。万が一のことがあったら団体生命信用保険でカバーされるのであれば、必要な時にお金を使えるようにしておくためにも、無理して繰り上げ返済をする必要は薄いのです。

「住宅ローン控除」の適用期間を待つほうがいい?

住宅ローンの金利によっては、「繰り上げ返済は早い時期に行うほどお得」というルールに当てはまらない場合があります。住宅ローン控除適用の存在です。

住宅ローン控除は年末のローン残高の1%分(2022年度改正0.7%)の税金が原則として10年間(改正13年間)安くなる制度です。最大控除額は、一般住宅で年40万円(改正21万円)です。

残高が多いほど控除額が多くなるので、住宅ローン控除の適用期間に繰り上げ返済をしてしまうと本来受けるべき控除が減ることになります。一方、繰り上げ返済をして期間を短縮すれば、その期間の利息が減ります。3000万円(一般住宅)を返済期間35年で借りた場合、繰り上げ返済と住宅ローン控除ではどちらがトクかシミュレーションしてみましょう。

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