「帰国できない」海外旅行、PCR検査の高すぎる壁 制限緩和はまだ足りない、本格回復はいつ?

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旅行先として人気が戻りつつあるハワイ
日本人の海外旅行の定番であるハワイ。現在はアメリカの国内旅行先として人気が高まっているという(記者撮影)

「帰国前のPCR検査が陰性になってよかった」――。

8月16日、夫婦で旅行先のドバイから帰国した30代女性は安堵の表情を浮かべた。検査は看護師がホテルを訪問して行うサービスを利用した。仕事が控えているため、仮に夫婦どちらかが陽性でも、陰性のほうは1人で帰国すると決めていたという。

今年春、入国時の待機免除や感染症危険情報レベルの引き下げを受け、旅行会社は2年ぶりに海外旅行を再開した。しかし、本格回復は遠い。主要旅行事業者の6月の取扱額は237億円と、2019年6月の14.7%にすぎない(観光庁調べ)。

日本へ帰国するには、出国72時間前に検査を受け、陰性証明を検疫所へ提示しなければならない。G7で事前のPCR検査を課す国は日本以外になく、G7国間の観光目的のビザ取得も日本以外は不要だ。

岸田文雄首相は5月、水際対策を大幅に緩和する考えを示していたが、実際には進んでいない。厳しい制限を課された中で、旅行会社は苦しい対応を迫られている。

再開を待ちわびたツアーでの苦難

添乗員付きの海外ツアーを企画・販売するユーラシア旅行社(東京・千代田区)は7月、地中海方面のツアーを催行した。海外ツアー再開の第1弾だけに、マスク着用をはじめ感染対策は徹底していたという。参加者もワクチンを接種済みだった。だが、旅行中に複数の陽性者が判明し、全員で帰国できないことが決まってしまう。

同社のツアーには年配の参加者も多く、現地に置き去りにするわけにはいかない。添乗員は陰性だった参加者とともに帰国し、ほぼ同時に日本からサポートのための添乗員が現地へ飛んだ。到着した添乗員の役目は全員を無事に帰国させること。参加者が陰性に変わるのを待ちながら、ケアを続けた。

現地でマスクを着用する人は少ない。仮に添乗員自身が陽性になってしまえば、さらに帰国が遅れる可能性がある。「しんがり」を務めるプレッシャーはそうとうなものだっただろう。その後はなんとか参加者とともに、無事日本に帰国。社内のWeb研修で現地の対応を全社に共有したという。

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