[Book Review 今週のラインナップ]
・『AIはすべてを変える』
・『フランス映画に学ぶリスクマネジメント 人生の岐路と決断』
・『ボマーマフィアと東京大空襲 精密爆撃の理想はなぜ潰えたか』
[新書紹介 3分で4冊!サミングアップ]
・『長期腐敗体制』
・『新疆(しんきょう)ウイグル自治区』
・『韓国 超ネット社会の闇』
・『北朝鮮 拉致問題』
評者・スクウェイブ代表 黒須 豊
タイトルと第1章「迫りくる創造的破壊(ディスラプション)」からは、AI(人工知能)が人類にとっていかに危険であるかを示す書という印象を受ける。
事実、そのような記述もあるのだが、むしろ著者は、かなりの紙幅を割いて、現在のAIが直面する限界を解説する。ディープラーニングが進化したといっても、いわゆるAGI(汎用人工知能)実現へのハードルはかなり高い。
AGIと現在のAIを比べると、後者が対応できる知識分野は極めて限定的なのだ。
例えば、AIの囲碁や将棋のソフトウェアが、プロ棋士に完勝できるようになっても、分野が異なるクロスワードパズルでは、それがどんなに簡単な内容であっても、解答することができない。
他方、AGIとは、人間のように幅広い課題に対応する能力を持つもので、人間よりも素早く深い解答を出すことが期待されている。AGIこそ多くの人々が想像している本来のAIだろう。
だとすれば、AGI以前のAIが自らの意思で人類に反逆し、地球を征服するなどということは起こりえない。
では、AGIの実現は可能なのか、可能ならばいつなのだろうか。
「変える」とすればAGI ただし、実現はかなり先
著者は23人の研究者にAGIの実現時期に関するアンケートを実施している。
実現する年として挙げられた最も早い年は2029年、最も遅い年は2200年と、回答はかなりの長期間に分散している。評者が23人の回答結果を分析したところ、中央値2093年、平均値2099年となった。
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