国の鉄道運賃「見直し議論」、誰が最後に笑うのか 当面は現行制度の範囲内、「小手先」で終わる?
つまり、当面は現行制度をベースに運賃・料金の多様化を図っていくというわけだ。認可制から届出性への緩和といった制度そのものの見直しは、将来の課題ということで先送りされた。
なお、オフピーク定期については、現行制度の範囲内で「認可できることが考えられる」となった。これについては議論の過程で政策研究大学院大学の森地茂客員教授が「予想していたほどピークシフトが起こらず、結果的にJR東日本が儲かりすぎてしまわないか」と懸念を示していた。そのため、中間とりまとめ案では「増収とならないよう、一定期間経過後に増減収の状況を検証する」という。JR東日本と国の間で、さっそく認可に向けた協議が進むことになる。
小手先の変更にとどまる?
ほかにも、中間とりまとめ案では運賃・料金の多様化に対応したICカードシステムの検討を鉄道会社に求めている。森地教授は私鉄各社が加盟するICカードPASMO(パスモ)について、「(変更などは)加盟社の全員一致が原則であり、意思決定に2〜3年かかる」として「国が指導しないと改革できないのではないか」と指摘した。
こうした意見を踏まえて最終的な中間とりまとめが作成されることになる。国土交通省鉄道局の平嶋隆司次長は「さっそく検討を開始し、結論が出たものから実施していく」と話した。
結局、当面は大掛かりな運賃制度の見直しは行われず、現行制度の範囲内で運用方法を改善することで落ち着いた。総括原価方式は見直すということになったものの、その詳細は今回の案には記されていない。小手先の変更にとどまる可能性もある。
その意味では、8回の会議で最大の成果を得たのはオフピーク定期が取り上げられたJR東日本ということになりそうだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら