演じるのは子役出身女優のパク・ウンビンです。演技派のパクにとっても自閉スペクトラム症というのは難しい役柄だったようですが、綿密なリサーチを重ねて臨み、偏見を持たせないキャラクター作りにこだわっています。「ウ・ヨンウの“心”に焦点を当て、自由に表現するために、あらゆる可能性を受け入れました」と、本人も語っています。
劇中で繰り返される「私の名前は逆から読んでもウ・ヨンウ。キツツキ、トマト、スイス……」という自己紹介の台詞や、事件解決の糸口を見つけた瞬間にフワッと髪がなびき、彼女の大好きなクジラが現れるファンタジックなお馴染みのシーンに、回が進めば進むほど愛着が湧くはずです。
【2022年8月14日19時35分追記】初出時、生物の名称に誤りがあったため、修正しました。
グローバルTOP10リストで2週連続1位
主人公を取り巻く仲間においても、人間性を繊細に描いています。最初は戸惑いながらも次第にウ・ヨンウの味方になっていく先輩弁護士チョン・ミョンソク(カン・ギヨン)や、ウ・ヨンウと惹かれ合っていくイ・ジュノ(カン・テオ)、ウ・ヨンウの理解者の1人である同僚のチェ・スヨン(ハ・ユンギョン)などそれぞれ魅力的な人物像です。人と人との密接な関わり合いからも、優しい世界観を作り出しているのです。
かと言って、甘ったるいだけのドラマではありません。ウ・ヨンウに偏見や悪意を向ける人物もいれば、扱う事件では強者と弱者の対立構造を見せながら、社会の現実的な側面に触れています。そのバランスが絶妙です。甘すぎず、重たすぎない。話が進むと、恋愛要素やウ・ヨンウの出生にまつわるワケあり事情が加わり、場面によって偏りはありますが、総じてブレてはいない印象です。
各エピソードの見せ場に至っても、白黒はっきりさせる裁判結果だけに集中していません。例えば、「脱げたウエディングドレス」の話では依頼人のカミングアウト、「3兄弟の対立」話では裁判後の折り合いに目を向けます。裁判を通じて登場人物たちが気づきを得て、納得したときに山場を持っていくのです。
「ひとたびウ・ヨンウが事件を担当すれば、視聴者がこれまで見たことのないような展開になります」と、脚本を担当したムン・ジウォンが言い切る通り、期待を裏切りません。韓国の公共支援機関であるKOCCAの作家育成事業をきっかけに約10年前、作家デビューしてから活躍を続ける脚本家の手腕が発揮されています。
視聴者の反応も上々です。6月下旬にNetflixで配信が始まると、Netflixの英語以外のTV番組のグローバルTOP10リストで2週連続1位を獲得します。韓国、香港、インドネシア、マレーシア、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムのTOP10リストで1位を獲得し、その他14の国や地域のTOP10リストにもランクイン。好スタートを切ります。
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