「熱中症」搬送件数が真夏より増加する意外な時期 気温だけでなく「暑熱順化」の獲得も大きく影響

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暑熱順化を獲得するためには、体温を上昇させることが必要となります。

実験では人工的にコントロールされた暑い環境の中で運動を行い、体温が高くなる状況を1週間程度継続させます。

グラフ2
出典:『暑さを味方につける[HEAT]トレーニング』

しかし、実験室がなければ暑熱順化が獲得できないわけではありません。通常は、私たちは、気温が徐々に高くなるにつれて少しずつ暑熱順化を獲得していくことになります。

初夏に熱中症による搬送件数が増える理由

人工的であれ、自然に獲得される順化であれ、汗をかいたり体温が高くなったりすることによって、順化の効果が獲得されますが、真夏と比較して気温があまり高くない初夏に熱中症による搬送件数が増えることは、この暑熱順化の獲得と関係があると考えられます。

ただ、自分がいま順化しているか否かを確認できる方法はないのかと考える方も多いのではないでしょうか? しかし、残念ながら、実験室で行う場合以外、つまり季節の変化によって順化する場合は、順化の効果を的確に知ることは難しいのが現状です。

ちなみに、これまでの研究では、持久力が高い人のほうが順化の獲得が早いことや、子どもや高齢者では順化で得られる効果が低い可能性が指摘されています。

これまでご説明したように、人は暑熱順化すると、暑さに対して強い身体、つまり暑さに対する耐性ができるようになります。

前掲した暑熱順化によって獲得できる生理学的な指標がどの程度の時間で獲得できるかを示したグラフを見ると、順化トレーニングを開始すると時間の経過とともに血漿量が増加することがわかります(ちなみに、この増加をより効果的にするための戦略としてミルクプロテインの摂取が効果的です)。ほかにも深部体温が低下したり、汗をたくさんかけるようになったりします。

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