――反田さん個人としては、ベートーヴェンのソナタ3曲を弾くリサイタルツアーや、国内外のオーケストラとのピアノ協奏曲(コンチェルト)のコンサート、メンデルスゾーン「無言歌集」のCD発売など幅広い活動をされていました。ショパン以外を弾くことでショパンの演奏がよくなる、といった相乗効果もあるのでしょうか?
大いにあります。例えば僕にとって、メンデルスゾーンの無言歌集はまさしくそれだった。タイトル通り「歌詞のない歌」ですから、歌のように弾かなければいけない。
ピアノにおける歌心を代表するのは、シューベルトやショパンですが、ショパンと同時期に活躍したメンデルスゾーンの無言歌集を勉強することで、当時のロマン派の中で流行った技法、楽譜の書き方、アクセントのつけ方など多くを学びました。
さらに、これはコンクールとは別ですが、指揮活動にも影響がありました。指揮の観点で得たもののほうが、ずっと多かったかもしれない。
ピアノという楽器は、実は特殊です。旋律だけではなく、伴奏や内声部もつねに独りですべて弾いて、言ってみれば1人オーケストラみたいなもの。だから、ピアノで多くの作曲家の曲に取り組んだ経験がオーケストラの指揮に生きるんです。
コンクール2年前につかみ取った幸運
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