さて、次は教育上どうなの?と感じる話についてです。ここでは『猿蟹合戦』と『かちかち山』を挙げたいと思います。両方の話に共通するのが、登場人物が死んでしまうこと。
『猿蟹合戦』では、蟹が柿の種を植えて柿の木に成長して実がなったところ、木に登れない蟹が猿に柿の実を取ってもらうよう頼みます。スルスルと木に登った猿ですが、自分ばかりが食べて蟹に分けてあげません。そこで蟹が「猿さん、私にも分けてくださいよ」と言うとまだ固い青い柿の実を投げつけ、それに当たった蟹は死んでしまいます。
あまりに突然でしかも当然のような流れで蟹が亡くなってしまったので、初めて聞いたときには一瞬頭が話についていけませんでした。日本人の友人にこの話をしたところ、本によってはケガをしただけで済むバージョンの話もあるそうですが、なかなか衝撃的でした。
「かちかち山」の衝撃的すぎるあのセリフ
『かちかち山』は、もっと衝撃的でした。いたずら好きのたぬきをわなにかけて捕まえ家に縛っておいたところ、たぬきはおばあさんに甘い言葉を投げかけ、縄をほどかせることに成功します。ところが、ここでたぬきはおばあさんを殺してしまいます。
「うまいたぬき汁ができたかな」とおじいさんが畑仕事から戻ると、たぬきが「うまいばばあ汁だよ!」と言いながら家を出ていきます。おばあさんが亡くなってしまう展開に加えて「ばばあ汁」という表現がとても衝撃的でした。
もちろんどちらの話も、猿とたぬきはその報いを受けますし、本の最後には「おはなしのなかには、一部、不適切とうけとられる可能性のある表現や表記がありますが、おはなしの時代背景を考慮したうえで使用しました」との説明もあるのですが、やはり子どもに聞かせる話としては少し刺激が強すぎるのではないかと感じたのが正直なところです。
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