英語「小学校でどう学んだか」で能力差、中学で「苦手」避ける授業づくりのコツ 小・中連携で段階的にレベルアップしている

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中学校の英語の授業で工夫したいポイント
1. 授業の導入に「オーラル・イントロダクション」を取り入れる
2. 英語でのやり取り、ディスカッションの時間を充実させ、「書く」時間はタブレットの活用などにより家庭で補う
3. 生徒とつねに英語でやり取りをしながら授業を進める
4. 少人数によるスピーキングの時間をつくる
5. パフォーマンステストを充実させる

高校受験のことを考えると「書くこと」が大切だからと、50分の授業のうち15分くらい「書く」時間に充てると、残り35分の中で友達と英語でやり取りしたり、ディスカッションをしたりする時間がほとんど取れなくなってしまいます。「書く」時間はなるべく家庭での復習に回し、「話す」時間を充実させてほしいですね。

――学習指導要領の改訂で、英語の授業はオールイングリッシュ化となりました。

佐藤 中学校の英語の先生方は、もともと英語がお上手なのですから、オールイングリッシュで頑張っていただきたいと思います。日本語で話すほうが早い部分ももちろんありますが、先生自らが英語でどんどん話している姿を見て、生徒たちも“その気”になるものです。

「オーラル・イントロダクション」では、例えばSDGsを取り上げるのなら、「学校の近くにコンビニがあるけど、プラスチックバッグは今いくらするの?」など、世間話の延長のような感じで気軽に自由に英語で会話できるような雰囲気をつくれるといいですね。スピーキングの時間も、「先生が話した言葉を生徒全員でリピートする」のではなく、「最初はペアで会話→グループで会話→全体で発表」という流れを定着させたいものです。

また、中学校の「パフォーマンステスト」は回数が少ない傾向にありますが、教科書を音読する、ALT(外国語指導助手)の先生と英語でちょっとしたやり取りをする、ロールプレイをするなど、生徒にとって負担感の少ない内容のテストも増やしていくことで、言語活動が増えるだけでなく、スローラーナーの生徒たちのモチベーションも向上していくことと思います。

――23年度より、都立高校の入学試験において、中学校における学習により身に付けた「話すこと」の力を客観的に評価するスピーキングテストが導入されます。

佐藤 採点基準や不受験者の対応などについてはさまざまな意見が出ていますが、学習指導要領が改訂され「言語活動を重視」とうたわれているわけですから、高校受験でスピーキングテストが導入されるのは「必然」ではないかと思います。

今、日本の英語教育界で、いちばん変わりにくいのが中学校といわれています。中学校の英語の先生は、「自分が中学生の時はこんな英語の授業を受けた」という経験値から、文法や説明・訳中心の授業からなかなか抜け出せない現状がいまだにあります。これを機に、言語活動を重視した授業づくりを意識することが、結果的にスピーキングテスト対策にもつながるのではないでしょうか。

オンラインで「小学校での英語授業に関する勉強会」を開催

――ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所では、佐藤先生を講師に、小学校教員や専科の教員向けの勉強会を開催しています。始めた経緯を教えてください。

本郷 当研究所では、日本の英語教育の研究、実践に広く深く貢献し、グローバル社会の中で世界に貢献できる子どもが一人でも多く輩出されることを目的に、幼児期からの英語教育の有効性や重要性についての研究活動や研究結果の発信を行っています。

小・中学校の英語教育の学習指導要領が改訂されるということで、18年から19年ごろ、佐藤先生から紹介していただき小学校を何校か視察したのですが、研究指定校などでしっかり英語教育を行えている学校とそうでない学校の格差のようなものが感じられました。

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