寝る前の「5分間暗記」が試験勉強に効果的なワケ とにかく暗記する!というクセから抜け出す

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繰り返しますが、人間は知識を1回で覚えることなどできない生き物なので、何度も復習が必要です。では、その復習はいつ、何回やるべきなのでしょうか?

この問題に答えるときにヒントとなるものとして、「エビングハウスの忘却曲線」という有名な研究結果があります。少し古い研究にはなりますが、心理学者のヘルマン・エビングハウス氏が、人間の記憶の構造を研究した結果です。同氏は、被験者に無意味な音節を記憶させ、時間の経過とともにどれだけ忘れるかを数値化しました。その結果が以下のグラフです。

(図①-2 本書P.81より)

どのタイミングで復習をすべきか

このグラフが、エビングハウスの忘却曲線といわれている曲線です。この研究結果によると、一度覚えたものでも、人間はわずか20分で42%を忘れ、1時間で56%を忘れ、1日後には74%も忘れるということになります。

エビングハウスの忘却曲線からは、「いつ、どのタイミングで復習をするべきか?」ということがわかります。エビングハウスの忘却曲線によれば、人間の記憶力など大したものではないことがわかりますが、「しっかりと復習をすることで記憶保持率を上げることができる」ともいわれています。適切なタイミングでしっかり復習をすることで、やっと記憶に残るのです。

適切なタイミングについては、日本を代表する脳科学者で、様々な勉強法に関する書籍も執筆されている池谷裕二氏が著書『だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法』(ライオン社)の中で、「1日後・3日後・7日後・21日後・49日後」と書かれています。つまり、徐々に復習の感覚を伸ばしていくのが一番脳に残りやすい、ということです。

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