中国の刺激策では世界的金属安に歯止めかからず 新たな資金はコロナ禍で生じた予算不足に使用
中国が世界の金属市場の深刻な混乱を好転させると期待している商品投資家は失望することになるかもしれない。中国政府の新たな刺激策が過去の強気相場に勢いを与えたような投資急増につながるとは思えないからだ。
中国財政省は地方政府に対して7-12月(下期)に1兆5000億元(約30兆円)相当の特別債発行を許可することを検討していると、複数の関係者が明らかにした。インフラ支出の押し上げにつながり得るこの報により、商品はこの数週間の相場急落で失った一部を取り戻した。
中国、30兆円規模の景気対策検討-地方政府の特別債発行を前倒し
2008年の金融危機後と15年終盤以降、20年の局面で、中国による過去の一連の刺激策は世界的な需要の低迷から工業用商品を救うことに寄与したが、今回はいっそう多くの慎重さが必要だ。追加の資金は新型コロナウイルス禍で生じた予算不足を埋めるために使われる可能性が高く、低迷する不動産市場となお苦境にある製造業という金属需要にとってより大きな問題には手が回らないかもしれない。
キャピタル・エコノミクスの商品担当チーフエコノミスト、キャロライン・ベイン氏は電話取材で、「中国経済は下期に持ち直すが、控えめな回復にとどまるだろう。金属にとって恐らく若干のプラスとはなるものの、中国の動きが新たな上昇局面を引き起こせるとは思わない」と語った。
ロンドン金属取引所(LME)の非鉄金属相場は4-6月(第2四半期)に四半期ベースで08年以来の大幅安となり、7月にはさらに値下がり。銅は先週、一時1トン=7500ドルを割り込み、20年後半以来の安値を付けた。3月に付けた最高値からは約29%下落。鉄鉱石は今年の高値の3分の2程度に落ち込み、アルミニウムは41%下げている。
LME金属指数、四半期で2008年以来の大幅安へ-世界景気後退懸念で
ゴールドマン・サックス・グループは、中国の政策が最終的に金属の弱気相場を食い止める可能性があるとみているが、亜鉛やアルミなど非鉄金属の世界消費の約半分を占める中国の需要見通しについては慎重な見方が多い。ウッド・マッケンジーは、今年の中国の銅需要がわずかな伸びにとどまると予想している。
国元期貨のアナリスト、範芮氏は「新型コロナ対策のロックダウン(都市封鎖)後に見られるはずだった需要の回復はまだ起きていない」と指摘。相場が下落する中、川下ユーザーは「銅を全く買っていない」として、一段安を見込んでいることを示唆しているとの見方を示した。
ゴールドマンは政策主導の需要が7-9月(第3四半期)に増え始め、相場を再び押し上げるのに寄与するとの見通しを示した。同社の直近の予測では、銅は年末までに1万500ドルの水準に達すると見込まれている。
原題:China Stimulus Unlikely to Reverse Global Metals Meltdown(抜粋)
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著者:Bloomberg News
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