誰でもできる、NHK朝ドラに学ぶ「飽きない」学習用の動画教材3つの特徴 簡単!ついつい見入ってしまう動画の作り方
その工夫の1つが「チャプター分割」です。また、単に分割するだけでなく、各チャプターの再生時間を短めにして分割するのです。海外のある研究では、動画の視聴時間が6分間を超えると、視聴者の離脱が一気に増えることが明らかになっており、このような研究結果を参考にしました。
チャプター分割された動画を最大限に生かすコツ
それでは、長編の収録型の動画をチャプターに分割する際、再生時間のほかにどのような点を意識すればいいのでしょうか?
学習動画のチャプターを分割する際のポイントは、「ある問題を解くための知識やスキルが習得できる最小単位で分割する」ことです。そうしたほうが、視聴者の問題解答力が向上しやすくなります。
私の研究では、大学入試センター試験(現・大学入試共通テスト)の英語問題を題材にしたのですが、駿台国際教育センターの英語講師でオンライン英語スクール「E Cubed」を運営している駒橋輝圭氏の協力の下、英文法の関係詞というテーマを以下のようなチャプターに分割し、学習者に視聴してもらいました。

チャプターに分割せずに流すと約120分間程度です。それを5分から最大10分程度の長さに分割しました。
いずれも、ある1つの英文法の問題を解けるスキルが習得できるようになっています。この講義をデザインするコツについて、先の駒橋氏にインタビューしたところ、次のような回答をもらいました。
「授業を受ける(生徒)側の視点としては、全体数が多くなりすぎてやる気が薄れる。『15個のポイント』って言われたほうが、『おし、じゃあ15個ならクリアできるかな』って思うんだけど、それが3分の動画が100個ありますとか言われたら、『100個?』みたいな。細切れに(分割)しすぎると、全体の個数が多くなるから、取り組もうという最初のモチベーションに対してネガティブな影響があるんじゃないかな」
つまり、集中できる時間(6分程度)で区切ることはもちろん大事ですが、むやみやたらに意味のないところでチャプターを区切らないほうがいいということです。
また、意味のあるまとまりを意識した結果として6分間をオーバーしてしまっても、収録型の動画であれば、倍速視聴で再生時間を短縮することが可能です。学習者が見る時間(再生時間)として6分間程度を目安とすればよく、あくまでその内容の理解や学習を阻害しない程度のチャプター分割が重要だと考えています。
最後に、チャプター分割された動画の学習効果を最大限に生かすコツをお伝えします。
それは、最初のチャプターで、その動画全体の視聴ディレクションを行うことです。あらかじめ、学習者にチャプターリストを渡したり、ウェブサイト上に掲載したりすることもお勧めです。
視聴ディレクションとは、例えば、「チャプター○番は全員必ず視聴すること」「チャプター○番の内容が理解できなかった人は□□を復習しておくこと」「チャプター○番は内容的にレベルが高いので、初心者はスキップしてしまってもOK」のような指示出しのことです。