注目された日銀6月16、17日政策決定会合の中身 主流は金融緩和は持続的な賃上げの後押しに有効

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日本銀行が6月16、17日に開いた金融政策決定会合では、賃上げ実現に向けて金融緩和を続けることが必要との主張が相次いだ。「主な意見」を27日に公表した。

ある出席者は「金融緩和の継続は企業による持続的な賃上げを後押しするために有効」と発言。「賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的・安定的に実現できるよう、金融緩和を実施していく必要がある」「賃上げ傾向が確実になり、物価目標を持続的・ 安定的に実現するまで金融緩和を継続すべきだ」との声も出た。

賃上げよりも雇用維持を優先する労使交渉が根付いてきたことが、日本の賃金が構造的に上昇しにくくなっている背景との指摘もあった。需給ギャップを解消し、所得と雇用を増加させるには、「政府の財政政策等とも連携しながら、経済を温めて高圧経済の実現を目指すことが必要だ」とする出席者もいた。

他の主要中央銀行が相次いでインフレ対応で金融引き締めに動いており、別の出席者は、海外からの金利上昇圧力は今後も続くとみられる中、「金融市場調節方針を実現するため、指し値オペの毎営業日実施を続けることが適当だ」と主張。政策金利のフォワードガイダンス(指針)について「従来の方針を継続することが適当だ」との意見も出た。

円安のプラス面への言及は消える

会合では現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の維持を賛成多数で決めた。声明文でリスク要因として「金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある」と言及した。一時1ドル=135円台まで円安が進行する中、市場では金融緩和策の修正観測も浮上していた。

主な意見には「急激な円安の進行は先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするため、経済にマイナスに作用する」との発言が盛り込まれた。 前回の4月会合時に見られた「需給ギャップや失業率ギャップが未だに大きく、インフレの基調が極めて低い現状に対しては為替円安がプラスに働く」とのプラス面への言及はなくなった。

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著者:伊藤純夫

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