アパグループ創業者が長男に託した経営のバトン 元谷外志雄氏が会長、長男の一志氏はCEOに

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強烈なカリスマ創業者の跡を継ぎ、グループの成長を継続する重責を負う、元谷一志・社長兼CEO。スマホの待ち受けは伊勢神宮で、机に観葉植物のパキラを飾るなど、ビジネス運アップのアイテムを集めている。パワースポットめぐりも好きだという(撮影:尾形文繁)  
2022年4月、ホテル業界大手の「アパホテル」を展開するアパグループは突然の代替わりを迎えた。創業者の元谷外志雄氏が会長となり、長男の元谷一志氏が社長兼CEOに就任した。
一志社長は管理部門を統括してきた人物だ。6月にはこれまでのトップダウン経営から組織型経営への移行を宣言し、2027年に経常利益450億円の中期目標を掲げた。急成長してきたグループをどう牽引するのか。一志社長を直撃した。


――2021年に創業50周年の節目を迎えたことや、コロナ収束が見えてきたことで、4月にトップ交代となりました。以前から世代交代の話はされていたのでしょうか。

実は、内示を受けたのは3月15日でかなり急だった。それまでまったく兆候はなく、15日朝に連絡を受けて「4月1日から新体制でいく。代替わりだ」と言われたんです。前日が会長とアパホテル社長(元谷芙美子氏)の結婚記念日なので、その夜に話し合ったのではないかと。

会長は生涯現役だと思っていた。情熱がすごく、バイタリティもある。走り続けて、いつか倒れたときに私がバトンを奪っていく、そんなリレーになると思っていた。

私は元々創業家に生まれ、トップ就任は既定路線として言われていたので準備は欠かさずしてきたつもりだが、このタイミングでの交代で、綺麗なバトンリレーになるとは想像がつかなかった。

既存ホテルを支持し続けてもらう努力

――これまで社長はどんな役割を担当されてきたのでしょうか。

20年以上、会長と並走して「整地作業」をしてきた自負がある。地味であまりフォーカスされないが、社員がしっかりついてくるために重要なことだ。

会長は新しいものをやっていくことに非常に興味があるが、その後のことはあまり興味がない(笑)。しかし、顧客は新しいホテルばかり利用するわけではなく、10年前に買収したホテルも利用する。

つねに改装し、最新の設備でキャッチアップし、顧客に支持してもらうといった「整地作業」が大切だ。それが口コミや評価が上がってきた要因だと思っている。古いからといってWi-Fiがないホテルはだめですよね。

これからは会長がやってきたことを私がやる。私がやってきた仕事は弟(元谷拓専務)に代わる。人事担当役員としてリクルート面接もやってきたし、財務戦略や開発も担当してきた。弟には整地作業もやってほしいと思っている。

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