「子育てがしんどい」親自身に必要な3つのバリア 不登校の子の親にも伝えたい3つのこと

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つぎに、親の「ため」の中身について、3つ紹介したいと思います。まず1つ目の「ため」は、「人間関係」です。たとえば、かつて不登校の子どもを持つ親だった先輩たちとのつながりなどが該当します。わが子の不登校で悩む親にとって、もっとも避けるべきは孤立です。誰にも相談できず、親だけで抱え込んでしまっていては、親がつぶれてしまいます。そんなとき、支えになってくれるのが先輩の親御さんです。先輩の親御さんは①すこし話をしただけで多くを理解してくれる、②愚痴や本音もありのまま打ち明けられる、③否定しない、という方も多いです。そういう方が1人でもいる人間関係は、今つらい親にとって、大きな支えになります。

2つ目の「ため」は「情報」です。たくさん集めても混乱するかもしれませんが、①不登校に関する親の失敗談、②居場所、③進路を含めた「不登校その後」の実例など、1つでも多く知っていることが、子どもの将来を案じる親にとって、漠然とした不安を軽減してくれることにつながります。

親の心のゆとりも大事

3つ目の「ため」は「自分自身」です。親のなかには子どものためと思い、仕事を辞めたり、趣味のサークルへ行かなくなったりする方がいます。そうせざるをえない場面もあるとは思いますが、子どもからすると、そうした対応によってかえってしんどくなる場合もあります。親だって人間です。しんどいとき、息抜きは欠かせません。親が自分のことを後まわしにしすぎず、自分のためだけに使う時間を大切にすることで生まれる心のゆとりも大事な「ため」の1つです。

日々変わる子どもの状態に沿うように、親も日々揺れ動きます。揺れることが悪いわけではありませんが、親がどっしりと構えていれば、子どもも安心できます。そのため、「私のためは今、何がどれくらいあるだろう」と整理し、もし足りない部分があれば、そこを厚くすることに意識を向けていただければと、私は考えます。(編集局・小熊広宣)

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日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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