粉飾7年、会社を潰した男「後悔はない」と言う訳 一度始めるとやめられない麻薬のようにハマった

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粉飾で資金を調達できるおかげで出店でき、売上高はどんどん増えるのですが、肝心の利益を回復させることができなかった。融資を月々の固定費の支払いに充てる割合が増え、成長のための投資に回すことはなかなかできませんでした。粉飾する金額は毎期増えていきました。そして、もう取り返せないのではないかと諦めに近い感情に変化していきました。今思えば、赤字を黒字にするために粉飾した金額が1000万円に満たなくても、その 1期分を取り返すのに最低でも 3期はかかる。会社を成長させて粉飾した分を取り戻そうとする当初の意気込みはなくなり、会社を何としてでも存続させるという守りの姿勢に変わってしまった。
資金をショートさせないことに意識が集中して、直近数カ月の支出と収入の計画にばかり目が向く。そうなると、ビジョンを掲げて将来を見据えた経営など到底できません。
「今は資金繰りが苦しいけれど、踏ん張って将来のための種まきをする」。やるべき経営を理屈では分かっていましたが、「会社が今倒れたら元も子もない。来月資金がショートしたら、1年後すらないんだ」と必死でした。
この時点で、私は正しい経営判断ができなくなっていたと言わざるを得ません。資金をショートさせないことで頭がいっぱいになったら、その会社に明るい未来はないでしょう。
もしも同じ境遇に立っている読者がいる場合、会社に強みがあるなら、粉飾決算の事実を承知の上で引き受ける会社があるかもしれません。タダ同然でも譲り渡せたら御の字。すぐに逃げ道を確保すべきです。
そうでないなら、破綻を覚悟するしかありません。

なぜ失敗を覆い隠してはいけないのか?

いかが思われたでしょうか。

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粉飾は一度始めるとやめられません。粉飾は麻薬のようなものといわれる所以です。やがて「会社を成長させて粉飾した分を取り戻そうとする当初の意気込みはなくなり、会社を何としてでも存続させるという守りの姿勢に変わってしまった」と、この経営者は悔いていました。

「資金をショートさせないことに意識が集中して、直近数カ月の支出と収入の計画にばかり目が向く。そうなると、ビジョンを掲げて将来を見据えた経営など到底できません」
「この時点で、私は正しい経営判断ができなくなっていた」

これらの言葉に、粉飾で失敗を覆い隠すことの本質的な問題が表現されているのではないでしょうか。

日経トップリーダー編集部

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