連盟設立へ、「中高デジタル活動」と「情報科授業」の支援で人材育成図る 鹿野利春氏「経産省検討会提言の実現を目指す」
「学校同士の情報交換だけでなく、大学生や技術者、企業、自治体などにも入っていただき、生徒たちや指導担当の教員がいろいろと相談できるような仮想空間をイメージしています」と、鹿野氏は話す。
教材や研修の提供、人材マッチングなど「情報Ⅰ」の支援も
さらに、今年度からスタートした高校の「情報Ⅰ」の授業支援も行っていく。教材の提供や教員を対象にした研修の実施、授業をサポートする産業界のプロ人材のマッチングなどを想定している。実は現場や教育行政からも授業支援のニーズが出てきているのだと鹿野氏は言う。
「1月に国立大学協会は、24年度実施の入試から、5教科7科目に『情報』を加えて6教科8科目にする方針を発表しました。これにより先生方の間で『もっとしっかり取り組まねば』という機運が高まっており、情報科の大学入試の動向や授業を気にする保護者も増えてきています。そのため教育委員会も情報科教員の研修強化や、本職のプログラマーなど企業人材を活用した授業を模索しているようで、そこをつなぐ役目を学校教育部会で担っていくこととなります。授業のレベルを上げ、より高度な人材育成につなげていきたいですね」
同連盟は、一般社団法人i-RooBO Network Forum内に事務局を置く。i-RooBO Network Forumは公益財団法人大阪産業局と共に、大阪・関西万博での実施を検討している未来創造コンテスト(※)実行委員会も担っているため、万博に関連する取り組みも検討していくという。
※ 社会課題をロボット制作やプログラミング、デジタルアートなどのテクノロジーを活用して解決するビジネスプランコンテスト。バーチャル空間やオンライン上のコミュニティーなどを活用して予選を行う
現時点で、産業部会長にさくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏、広報部会長にGMOメディア代表取締役社長の森輝幸氏の就任が決定しており、ガイドライン部会ではお茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所特任教授の佐々木成江氏が部会長を務めるほか、特定非営利活動法人Waffleの森田久美子氏の参画が決定している。「学校教育部会の部会長や各部会の会員については、連盟設立後に改めて就任を依頼する」と鹿野氏は話す。
日本のデジタル分野の競争力向上を目指して若年層の才能を伸ばしていくためには、とくに企業の支援が欠かせない。企業にとっても、支援は高度人材の採用につながる可能性がある。「IT企業はもちろん、教育関連企業、教科書会社、印刷会社などを含むデジタルアート関連企業など、産業界からの幅広い参画を期待しています」(鹿野氏)。
(文:編集部 佐藤ちひろ、注記のない写真:YAMATO/PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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