連盟設立へ、「中高デジタル活動」と「情報科授業」の支援で人材育成図る 鹿野利春氏「経産省検討会提言の実現を目指す」
「この連盟は、検討会の提言を実現していく組織。学校教育部会、広報部会、ガイドライン部会、産業部会という4つの部会を置いて関係団体と連携し、若年層のデジタル活動の活性化を目指します」と、鹿野氏は説明する。
具体的には、中高の教員や教育行政関係者、教育研究者などで構成される学校教育部会が、中高生のデジタル活動の支援ニーズを整理して産業部会に要望。企業や業界団体などからなる産業部会はその要望を受け、支援策を検討して関係機関に働きかけるほか、若年層のアントレプレナーシップ育成も行っていく。
とくに注目したいのは、ガイドライン部会だ。主に大会やコミュニティーのガイドラインを作成する部会だが、その重要性について鹿野氏は次のように語る。
「国内のデジタル関連の大会における運営や審査員は、その多くを男性が占めています。本来デジタル領域は体力に関係なく男女差がないはずなのに、参加者の割合も男性のほうが女性より多いのが現状です。このジェンダーギャップを解消しないとデジタル人材育成は量的にも質的にも達成できません。男女比率が半々になるだけでもそのインパクトは大きい。ジェンダーバランスの確保を含むガイドラインを作ることで女性および性的マイノリティーが参加しやすくなれば、若年層全体の能力向上が図れると考えています」
情報提供の仕組みづくりにも力を入れていく。「デジタル領域の大会は国内に200近くある」(鹿野氏)が、その内容について大学や企業、参加生徒が通う学校などが把握できていないという。
「各大会の認知度が低いため、学校によっては世界大会の参加でも公欠にしてもらえない場合がありますし、よい成績を残しても進学や就職で有利になるような流れも十分とはいえません。また、自治体や企業が子どもたちのデジタル活動を支援する事例はあるものの、これも世間にあまり知られておらず、個別の取り組みにとどまっています」
こうした現状から、同連盟のウェブサイトを通じて、広報部会がガイドラインに合致する大会やコミュニティーを紹介するほか、企業による支援に関する情報などの発信も行っていく。また、交流の場としてバーチャルプラットフォームも提供する。中高生や指導者がそれぞれのアバターで動ける、いわゆるメタバースのような空間だ。