出版不況の勝ち組「講談社」が打ち出す次の一手 「キャラビジネス部署」を続々と立ち上げる背景

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版権ビジネスを担う部署を、水面下で矢継ぎ早に立ち上げている講談社。その狙いとは。

講談社は海外を意識したブランディングを加速するなど、成長への強い意欲がうかがえる(撮影:尾形文繁)

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昨今「出版不況」が叫ばれ、雑誌全体の発行部数が低迷している。出版科学研究所によると、2021年は紙の雑誌の推定販売金額が前年比5.4%減の5276億円だ。そうした中で、好調なのが漫画を抱える出版社だ。『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』を擁する集英社は、2021年5月期に売上高が前期比31%増の2010億円、純利益は同118%増の457億円と、好業績をたたき出し、出版業界では大きな話題となった。

漫画のヒット作を生み出す大手出版社が、ここから一段と成長するうえでカギとなるのが、収益源の多角化だ。これには大きく2つの手法がある。

1つは、市場成長が見込まれるゲーム制作への事業展開だ。集英社は2022年2月に、ゲームの企画から開発、販売までを一気通貫で担う集英社ゲームズを設立した。また、すでにグループでゲーム事業を展開するKADOKAWAも、傘下のゲーム会社に積極的な投資を続けている。

版権収入の拡大を急ぐ講談社

もう1つは、版権収入の拡大だ。漫画のアニメ化といったマルチメディア展開はもちろん、企業や自治体の商品・プロモーションなどに対して、漫画の世界観やキャラクターIP(知的財産)の版権使用を許諾し、その使用料を受け取るビジネスである。

この版権ビジネスに前のめりなのが、講談社だ。同社は『進撃の巨人』『東京卍リベンジャーズ』などを擁し、2021年11月期の売上高は1707億円(前期比17.8%増)、営業利益217億円(同35.6%増)と絶好調だ。

【2022年6月3日11時追記】上記出版物の表記について修正しました。

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