他の出版社に先駆け映像やゲームなどさまざまな事業を手掛けてきたKADOKAWA。同社の次の一手とは。
『Re:ゼロから始める異世界生活』など、ライトノベルの原作を軸とした人気IP(知的財産)を擁するKADOKAWA(カドカワ)の業績が好調だ。
2021年3月期は好採算な電子書籍の成長や、紙書籍の返品率改善が貢献。売上高は2099億円(前年同期比2.6%増)、営業利益136億円(同68%増)と大幅増益を達成した。株価も5年前から、天井を打ったものの約3倍にまで上昇している。老舗出版社にルーツを持ちながら、映像やゲームといった事業にも手を広げ、業界ではいち早くメディアミックスを推進してきた。
後を追うように大手出版社やゲーム会社がIPのマルチメディア展開を加速させる中、カドカワは次の成長軸をどこに据えるのか。メディアミックス事業グループ コンテンツ事業局の垣貫真和局長、海外事業局 海外事業統括部の石原輝明部長に聞いた。
――エンタメ産業を見渡したとき、ビジネスモデルが類似する企業はなかなか見当たりません。
メディアミックス担当 垣貫局長(以下、垣貫):あえて挙げるならば、やっぱり(映像やテーマパークなど全方位的に手掛けている)アメリカのウォルト・ディズニー?
海外事業担当 石原部長(以下、石原):そうですね。ちょっと口にしにくい(笑)。
垣貫:いやいや、そういうこと。われわれ自身、出版業界にどっぷり浸かっているという認識はあまりない。おそらく、片足の4分の3ぐらいは出版業界だけど、もう片足は全然違う業界に達しかけている。
――こうしたポートフォリオの展開は、各コンテンツ市場におけるKADOKAWAの競争力の強化にもつながっているのでしょうか。
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