私は現役時代、どう振る舞えば職場全体の多忙感を解消できるかを考え続けてきました。事務作業は朝に終わらせ、放課後は職能開発の時間に充てる。定時になったら学年の若手を誘って退勤するようにする。そんな働き方の中でも、子どもたちの姿をもって結果を示す。もちろんプレッシャーもありましたが、必要だと思って続けてきたことです。
職場が多忙になると、真っ先に削られるのが職能開発や新たな挑戦です。そうなると、日々の仕事が自転車操業になり、教員の余裕もなくなり、そのひずみが子どもに影響する……そんな悪循環に陥ります。私のような中堅が、限られた時間の中で生き生きと働く姿こそ、若手に感じてほしいこの仕事のすばらしさであると思って続けてきました。
3月の連載記事でも触れたように、全国的に教員のなり手がいないことが深刻化していますが、その最たる原因が働き方の問題と言えるでしょう。私たちが取り組むべきは、勤労時間を削ればよいという単純なこと以上に、いかに「担任でなくてもできる仕事を割り振り」ながら、子どもたちと向き合う先生たちの職能開発の時間を十分に確保できるようにすることなのではないでしょうか。教師のやりがいを回復することが、早急に求められていると強く思います。
現役の公立校教員時代は自分の力不足もあり、思ったように貢献できなかったかもしれませんが、働き方改革の波や調査の裏付けを共有しながら、もっと教師が働きやすい環境になっていくことを願いつつ、今の立場でできることを考え続けています。
(注記のない写真:kapinon / PIXTA)
執筆:蓑手章吾
東洋経済education × ICT編集部
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