文部科学省も、この調査の分析を公表しています。例えば「若手教員の増加」。確かに、若手教員のほうが長く職場にいる傾向はあります。覚えなくてはいけないことが多くあったり、こなさなければならない研修があったり、早く帰らなければならない家庭の都合がないことが多かったりするからでしょう。
しかしその分、職場では大きな担当は免除されることも多いです。また、デジタル化でいえば中堅よりも若手のほうが扱いは慣れていることが多いでしょうし、最近ではプライベートを大切にする若手も増えているように感じることから、この年齢バランスの影響がどれだけ大きいかは疑問です。
授業時間は、学習指導要領の改訂により週に1時間ほど増加しました。とくに新設教科「外国語」の影響は大きいです。準備や成績処理なども加味すると、さらに大きな負担となっていると思います。
さらにさかのぼると、1966年度は月の残業時間が約8時間であり、2006年度調査の月42時間と比べると、職員室の風景は一変してしまったといえるのかもしれません。内訳に目を移すと、顕著に増加している項目が「生徒指導等」と「事務的な業務」です。今なお残業時間は増加の一途で、実に半数以上が過労死ラインを超えると言われています。
週の勤務時間は国際平均が38.3時間、日本の小学校は54.4時間
OECDが18年に行った「国際教員指導環境調査(TALIS)」によると、日本は教員の勤務時間が参加国中最長であることがわかっています。週の勤務時間で見ると、国際平均が38.3時間という中、日本の小学校は54.4時間という数値の開きを見ても、この国の教師の働き方がいかに異常であるかがうかがえるところです。
この調査で、もう1つ興味深いのは、勤務時間が最長であるにもかかわらず、職能開発時間が週に0.7時間と、国際平均の2.0時間を大幅に下回っています。それと呼応するように、職能開発のニーズに関しては国際平均よりかなり高いことも調査からわかりました。