SUV人気を牽引、ホンダ「ヴェゼル」発売1年通信簿 好調の理由とトヨタ「C-HR」との決定的な差
新型ヴェゼルに搭載されたe:HEVは、先に発売された「フィット」も同様だが、ヴェゼルでは車両重量が重くなるのでバッテリーのセル数を増やし、出力を高める対応がなされている。ことに前輪駆動(FWD)となる2輪駆動では、滑らかな加速とともに静粛性も高まった。4輪駆動車になると、車両重量が増すためエンジンの作動する機会が増え、比較的頻繁にエンジンが始動するが、静粛性の高さを意識させるFWDでのe:HEVの魅力は大きい。クルマとしての上質さを実感できる。
この1年の販売動向では、ガソリンエンジン車に対し、ハイブリッド車(HV)は91%を占めているとのことだ。
ガソリンエンジンは、排気量1.5リッターで、CVT(ベルト式無段変速機)が組み合わされる。ホンダらしい壮快にまわるエンジンで、高回転へまわしたときの音色もいい。ただ、e:HEVを一度味わうと、総合性能でHVが上まわる印象がある。それが1割弱の販売傾向となっているのではないか。エンジンのホンダといわれ続けてきたが、時代の変化を思わせる。この点でも、EVへ舵を切った三部社長の英断は、実績を伴いはじめているといえるのではないか。
試乗して感じたヴェゼルの魅力とは
新型ヴェゼルに試乗して印象深いのは、前方視界のよさだ。ホンダは、フィットで独創的な車体構造を活用し、前方視界の大幅な改善を実施した。フロントウィンドウを支える柱と、衝突の際に衝撃を吸収する支柱とをわけることにより、フロントウィンドウを支える柱を細くすることで圧倒的な前方視界のよさを実現したのだ。
新型ヴェゼルは、フィットのような独特の車体構造は用いていない。だが、運転席に座れば前方視界が開けた様子を実感できる。またダッシュボードが平面の形状となり、この造形もフィットからの継承で、前方視界のよさにつながっている。側面の窓ガラス下端のドアの形状も横へ一直線となるようにし、これによってダッシュボードにつながる線が視界の中で連続して直線となり、これが車幅感覚の掴みやすさにつながっている。
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