貨物列車の「後押し専門機関車」EF67形ついに引退 「セノハチ」で活躍したが3月に定期運用終える

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1970年代後半に入ると種車が戦前製のEF59形の老朽化が進んだため、新型旅客用電気機関車のEF61形0番代8両と、貨物用のEF60形初期車14両とを改造したEF61形100番代・200番代、合計22両でEF59形を置き換える計画を立てた。EF61形100番代・200番代はEF59形と同様に重連運転と走行解放が可能な仕様となり、まずEF60形を改造したEF61形200番代が落成し、セノハチに投入された。

しかし、EF61形200番代の押し上げ能力が高く、重連で重量貨物の後押しをした際に編成に横圧を生じさせて脱線の危険があることが判明した。そのためEF61形200番代の改造は8両で中止となり、EF61形100番代は改造計画そのものを破棄。後補機運用も1000t以下の単機に限定され、1200t列車の重連運転用にEF59形が残されることになった。

国鉄はEF59形重連による重量列車の後押しを単機で行うことができる電気機関車を開発する必要に迫られ、この結果1982年に誕生したのがEF67形0番代だった。

EF67形の特徴

EF67形0番代はEF60形の後期車を改造。単機で1200tの重量貨物列車の後押しを、EF59形重連の半分となる6軸の動輪で行うため、国内の電気機関車としては初めて電機子チョッパ制御を採用。サイリスタ素子(半導体)を使用してモーターの制御電圧を連続的に可変させることで高い粘着力を確保した。

また、1台の制御装置(コントローラー)で1個のモーターを駆動する「1C1M」制御を採用することで、動輪を個別にきめ細かく制御。これも粘着力向上に寄与している。

さらに、回送時の下り勾配で、踏面ブレーキの多用による車輪への負担を低減させるため、中間台車のモーターを使用した回生ブレーキを搭載した。ブレーキ時にモーターが発電した電力を架線に送り返して、ほかの列車が使用することで、省エネルギー化も図られている。

車体の塗色は、従来の国鉄形電気機関車にはなかったもみじ色(赤11号)」を採用。これは広島県の県花であるもみじをイメージしたものだ。編成に連結する東京側は台枠を400mm延長してデッキと貫通扉、密着自動連結器、自動解放テコとシリンダーを装備した。一方広島側は種車のEF60形につらら切りを加えた程度となっていた。

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