へこたれないというより、鈍い。でもだからこそ――。ドキュメンタリー映画監督・森達也氏が思い描く、ジャーナリストの真価とは。
峯村氏は「後ろめたさがなさすぎる」
――朝日新聞の編集委員だった峯村健司氏が、安倍晋三元首相の依頼で他社に発売前の誌面(ゲラ)を見せるよう要請していました。
ジャーナリストの仕事をマニュアルで定義するのは難しいと思っている。監視すべき権力者の懐にあえて入り込む場合もあるかもしれないし、時には違法すれすれの領域に踏み込むことだって否定はしない。
ただ、峯村氏の言動には強い違和感がある。
峯村氏はブログで、「致命的な誤報を阻止しようと行動」したと主張している。国益を損ねることを防いだのだと解釈できる記述もある。「重大な誤報を回避する使命感をもって」などと峯村氏は書いているけれど、何が正しくて何が間違っているのか、自分はそれを知っていると、なぜ断言できるのか。後ろめたさがなさすぎる。
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