今、病院経営者を悩ませるのが、感染者の増減によって確保病床を拡大したり、縮小したりすることだ。それは人繰りの問題だけではない。確保病床の数で自治体からの空床補償も増減するからだ。
たとえば、重症患者を受け入れる重点医療機関の一般病院では、集中治療室(ICU)で空床補償が1日30万円、一般病床では7万円が支払われる。こうした大きな金額が、確保病床の削減によって失われる。
東京北医療センターでも空床補償が収益を底上げしているが、2020年度はこうした補助金がなくても平年並みの利益が維持できていたという。その理由は、救急車の受け入れを制限しなかったからだ。
受診控えは回復するのか
同センターの宮崎国久医師は「発熱などコロナの疑いがあるような患者を断る病院が多いため、救急車の受け入れ依頼が激増した。一般の外来も制限しなかったため、患者数は予想より上回った」と説明する。
しかし、東京北医療センターのようにコロナ対応と通常の医療を両立する病院は珍しい。大多数の病院は、患者の減少による損失を補助金で補っている。都内で有数のコロナ病床を持つ民間病院の理事長は、「コロナが終わった後、患者が戻ってくるか不安だ」と嘆く。同院はコロナ患者を受け入れるため、通常の医療を制限してきたからだ。
病院はいつまでも補助金頼みを続けられない。一方、コロナで受診を控えていた患者が今後どれだけ戻るのかも読めない。医療法人は今後どのように収益を確保し、安定した医療体制を維持していくのか。ますます難しい舵取りを迫られそうだ。
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