
からかま・だいすけ 慶応大学経済学部卒業後、JETRO入構。日本経済研究センター出向を経て、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)に出向しEU経済見通しなどを担当。現在はみずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト。著書に『欧州リスク』『ECB 欧州中央銀行』など。(撮影:梅谷秀司)
2021年12月、独首相、メルケルが勇退した。メルケルの在任期間16年はドイツ首相として最長。しかも圧倒的に強いドイツ経済を実現し、EU(欧州連合)においてもリーマンショックとその後の欧州債務危機克服でリーダーシップを発揮した。EU勤務経験もあるエコノミストがメルケル時代を総括し、メルケル後のドイツとEUを展望する。
EUは危機のたびに進化 域内財政移転の成否が焦点
──メルケルは危機を克服して成長してきたと指摘しています。
恩師である元首相のコールを切り捨てたときからそうでした。パンデミックで先進国のリーダーが軒並み支持率を下げる中でも、メルケルの支持率は当初上がった。ところが、難民危機では無制限の受け入れを表明して失敗し、今回の退任につながった。この件について引退後にメルケルがどのように語るか、注目しています。
牧師の娘でもあり人道主義、理想主義からの難民受け入れだったとの見方が多い。でも、私が注目しているのは、このときの移民急増が人口減少に歯止めをかけた点です。日本との人口格差はこのままだと今後、開いていきます。ドイツは18年に不法移民を条件次第で合法化するという法律を作りましたから。推測の域を出ませんが、そういうグランドデザインが最初からあったのかもしれません。
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