
ひろた・しゅうさく 1980年生まれ。東京大学工学部卒業後、NHKに入社しディレクター。2009年電通へ移り、マーケティング、新規事業開発・ブランドコンサルティング業務。18年に企業のブランド開発を行うHenge Inc.設立。イノベーションリサーチの英Stylus Media Groupチーフコンサルタント、Vogue Businessの日本市場ディレクターも兼任。(撮影:梅谷秀司)
一通りモノが行き渡った今、ニッチだけど共感性の高い商品が局所的ヒットを飛ばす。ドハマりする小集団と、何も知らないその他大勢という市場構造。その原動力ともいえるのが、1990年代後半〜2000年代後半生まれのZ世代だ。彼らが世界の消費者の40%を占める今、企業はどう向き合うべきか。豊富な実例を挙げて市場の今を解き明かす。
経営者の思想・発言チェック 発言・行動の間に矛盾ないか
──Z世代をどう見ていますか?
デジタルネイティブ世代でSNSでつながりやすくていい、と上の世代は思いがちだけど、逆につながりが容易に見えてしまう地獄がある。クラスメートがパーティーで盛り上がっているインスタグラムを見て、自分が除外されているのを知る。友人はフォロワーが10万人いて自分は3人だけとか、容赦なく可視化され突きつけられる。一方で、何か書けば知らない人からコメントで攻撃される。
さらにコロナ禍で人と会う機会が減り、ちょっと言葉を交わす程度だった“弱いつながり”の友人知人と関係が途切れてしまった。実は、人生における有益な情報は、同じ価値観ではない弱いつながりの人から得ることが多い、という研究があります。友達づてに新しい人と知り合う機会も激減した。
リアルでもデジタルでも孤独感や閉塞感が強まっている。Z世代に平均像などないし、彼らをひとくくりにはできないけど、そうしたメンタルヘルスの問題が確かに存在する。そこを切り捨てることなく、共感を持って真摯に向き合っていく必要があると思う。
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