「ハンズを手放す」決断下した東急不動産の苦悶 小売の常識覆した「素人集団」はなぜ挫折したか
グループの「顔」でもあったハンズの売却に、なぜ踏み切らざるをえなかったのか。東急不動産ホールディングスの西川弘典社長に聞いた。
ハンズは社員の「精神的支え」だった
――売却はいつごろから検討されていましたか。
2020年4月に社長に就任して以来、東急不動産グループとしてコロナ禍収束後を見据えた長期ビジョンの策定に取りかかった。「2030年度にどうありたいか」をグループ会社ごとに提示してもらったところ、ハンズからは「(物販を通じて新しい発見や発想を提案する)『ヒント・マーケット』をデジタルでも表現したい」という提案があった。
当初は私も納得したが、次第に「東急不動産グループにとどまっていては、ハンズの成長は難しい」と思うようになった。
ハンズはPB(プライベートブランド)とEC(ネット通販)の展開が決定的に遅れていた。私も社長就任以前からハンズのデジタル化を急ぐべきだと考え、いずれもコロナ禍以前から取り組みを進めていた。
――いざやってみると、そう簡単ではなかったと。
取り組むにつれ、PBやECに対する経営資源が当社グループに不足しているとわかってきた。同じデジタル化でも、不動産業と小売業とでは明らかに異なる。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら