重要なのは、科学的根拠のある政策を行えるか、政策判断の妥当性を国民に伝えられるかだ。
2022年は新型コロナウイルスのオミクロン株などによる感染爆発で幕を開けた。昨年は1月上旬をピークとする感染爆発が起こったが、その後急速に新規感染者数は減った。人々の行動変容が効果を発揮したのだろうと推測できる。ところが、今年は様相が異なる。感染力の強いオミクロン株が自宅待機を必要とする濃厚接触者を激増させ、医療従事者などエッセンシャルワーカーの自宅待機急増で社会システムの運営が不安定となりつつある。
岸田文雄政権は状況を見ながら先手を打とうと身構えてはいる。経済を回すことや東京五輪開催に気を取られ、感染拡大の対応で後手に回った安倍晋三・菅義偉政権への反省がその根底にある。では、その態勢で、これから何が問われるのかを考えてみたい。
現政権は以前の政権と異なり、発足時にほどほどのレベルであった支持率が徐々に上がり始めている。その理由とみられるのが、新型コロナ対策である。「最悪を想定している」と首相自ら語っているように、外国人の入国を禁止したり、年末の帰国者の飛行機予約を停止したりといった措置をまず発動し、世論の支持や反発を見極めつつ、微修正している。
安倍首相の場合は五輪開催の1年延期が典型であったが、コロナからの早期脱却への期待が強すぎた。菅首相は観光産業振興が年来の政策であったためであろうが、感染拡大の抑え込みに成功しないうちから、Go To トラベルへのこだわりが強すぎた。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら