閣僚も官邸スタッフも全面的に刷新した岸田内閣。政権継承が円滑に進んでいるのはなぜか。
岸田文雄内閣が10月に発足してから2カ月が経った。2012年に自民党が総選挙で過半数を確保してから、昨年の菅義偉内閣の発足時と今回の新内閣の成立の二度にわたって、自公政権は政権継承を進めている、ここから、安定的な政権継承とは何かという問いに対するいくつかの答えを読み取ることができるだろう。
まず菅内閣は、菅氏自身が安倍晋三政権の官房長官であり、前内閣から主要閣僚を引き継いだ。官邸スタッフも、首相秘書官を入れ替えた以外は大きな変更はなかった。実質的には前政権の延長であり、政権継承自体は円滑であった。
これに対して岸田内閣は、前内閣から閣僚も官邸スタッフも全面的に刷新した。安倍・菅政権の9年間で官邸を含めた統治機構が大きく変化したことを考え合わせれば、ここで何らかの混乱が生ずるのではないかとも思われた。ところが、この2カ月を振り返ると、政権継承は静かに進んでいるように見える。陣容の激変を考えれば、これは岸田内閣の大きな功績とも言えそうなのである。
まず、政権発足から総選挙を経て、運も幸いしているように見える。そもそも発足から2週間での早期の解散については当初、自民党の敗北すら懸念されたが、ふたを開けてみると261議席というまずまずの結果であった。
しかも、政治資金問題についての説明不足を問われた甘利明幹事長が小選挙区で落選し、幹事長を辞任したことは、政権にとっては好都合であった。安倍政権以来の影響力を誇った甘利氏の影響力が大きくそがれ、党に対する政権の影響力が強まったからである。
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