国内高級ホテルの多くがSDGsに関連する取り組みに奮闘中。その背景には、欧米を中心に顧客の志向が「激変」している事情がある。

「ザ・キャピトルホテル 東急」に登場した木材ストロー。導入することだけが目標ではなかった(写真:ザ・キャピトルホテル 東急)
企業にとって自発的、付随的な活動にすぎなかったものが、いまや「生命線」といえる要素に――。「脱炭素」などのSDGs関連施策を軽視すると、事業が立ちゆかなくなる業界が増えている。逆に、これを好機ととらえ躍進しようとする企業も続々登場。ビジネスとSDGsの最前線を追う。今さら聞けないSDGsの基礎はこちら。
「いったいいくらかかると思っているのか、問題があったらどうするのかと、当初はほぼ全員から反対された」。苦笑まじりにそう語るのは、東京・永田町にある「ザ・キャピトルホテル 東急」の末吉孝弘総支配人だ。
251の客室を持つ同ホテルは、政治家をはじめ、経営者などのVIPを顧客に抱えるラグジュアリーホテル。内閣総理大臣の1日の動きを伝える「首相動静」にも頻繁に登場する。コロナ前は宿泊客の7割強を外国人客が占めていた。
そんな高級ホテルに2019年、小さな変化が起こった。館内のレストランなどで使っていたプラスチック製のストローが、厚さ0.15ミリにスライスした木材を手作業で巻いた「木材ストロー」に置き換わったのだ。
原材料は国内のスギの間伐材。日本国内では豪雨による土砂災害が頻発しているが、その要因の一つと指摘されているのが、多数の森林が間伐などの管理を行われず放置されていることだ。キャピトルホテルではこのストローで間伐材を有効活用し、減災や林業関連の雇用創出を目指している。
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