ロッテが「小さなチョコベンチャー」買収した真意 カカオ生産の「児童労働」問題をどう乗り越える

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8
拡大
縮小

カカオ生産の「根深い問題」の解決に向け、ロッテが動き出している。単なる提携ではなく、完全子会社化の道を選んだ背景とは。

「Dari」はインドネシア語で「~から」を意味し、「K」はカカオの調達先であるスラウェシ島の形を表している(写真:Dari K)

特集「お金が集まる・逃げるSDGs」の他の記事を読む

「私たちに力を貸してほしい。不安なことがあれば、何でも言ってほしい」

2021年の12月某日。京都市内にあるチョコレートメーカー・Dari K(ダリケー)のオフィスにそろった社員たちは、一様に不安げな表情を浮かべていた。その前に立ち、冒頭のように熱を込めて語りかけたのが、国内菓子メーカー大手・ロッテの牛膓(ごちょう)栄一社長だ。

ロッテは2022年1月14日、ダリケーの全株式を取得し子会社化した(買収額は非公開)。生産者や環境に配慮した持続可能性の高い原料調達の仕組みや、発酵・焙煎に関連するフードテックのノウハウなど、ダリケーの強みを自社に取り込む狙いがある。社員集会はこの説明のために開かれたものだ。

「M&Aは選択肢になかったが」

ダリケー社員が戸惑うのも無理はない。ロッテとダリケーとでは、事業規模や消費者イメージが大きく異なる。加えて成長戦略上も、ロッテの買収話が浮上する前は「短期目標はIPO(新規株式公開)で、M&Aという選択肢は念頭になかった」と、ダリケーの吉野慶一社長は話す。

だがロッテの意図を知るほどに、吉野氏の意志は変化した。ダリケー社員も「(子会社化を原因とする)退職者は誰一人出ていない」(吉野氏)という。何が決め手となったのか。

次ページ吉野社長「いい意味で裏切られた」
関連記事
トピックボードAD
トレンドライブラリーAD
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
東洋経済オンライン有料会員のご案内