銀行員の常識ではありえない事件を起こしていた。
「将来有望と言われたのに、ふたを開けたら虚偽の業績。投資してから株価はまったく上がらなかった」
大阪府内で病院を経営する男性は、怒りを抑えきれない様子でそのように語る。
男性が購入したのは、電子機器の受託製造を営むユー・エム・シー・エレクトロニクス(UMC)の株。UMCは2016年に東証1部に上場、18年に公募増資で約87億円を調達した。主幹事証券会社はいずれもみずほ証券。男性は18年5月、付き合いのあったみずほ証券の社員に勧められ、約1億円分の株を購入していた。
ところが、待てど暮らせど一向に業績は好転しない。それどころか、出資してから約1年後の19年7月、会社を揺るがす大事件が起きた。主力の中国子会社で、売り上げの架空計上や原材料の在庫水増しなどの不正会計が発覚したのだ。
同年12月には東証がUMCを特設注意市場銘柄(特注)に指定。特注とは、内部管理体制に問題がある企業に一定期間内での改善を求める制度で、改善されない場合は上場廃止だ。この間、株価は下がり続け、男性は特注指定を機に全株を手放した。損失は約9000万円に及ぶという。
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