予知かイノベーションか 勝者の思考は「危機=好機」 エコノミスト 玉手義朗氏に聞く

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たまて・よしろう 1958年生まれ。筑波大学社会工学類卒業後、邦銀、外銀で為替ディーラーを経験。92年TBS入社、経済部デスクや経済キャスターを務めながら、執筆も。定年退職後はエコノミスト、メディア評論家として活動。日本の近代西洋建築に造詣が深い。(撮影:梅谷秀司)
大恐慌の勝者たち
大恐慌の勝者たち(玉手義朗 著/日経BP/1980円/287ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
約30年前、先輩記者がこう言った。「バブル崩壊でウハウハって話は聞かねぇな」。「確かに」と思ったが、自慢しなかっただけでウハウハの人はいたのだろう。大恐慌期の米国では、株価暴落で大儲けした、あるいは大損を糧に大成功した人たちがいた。

大恐慌時と似る株価推移 実体経済との乖離は調整必至

──帯に「暴落に備えはあるか?」。現状を懸念していますか。

大恐慌時の株価の動きと似ているんです。「暗黒の木曜日」1929年10月24日のダウ平均株価は午前中に大きく下げたものの、午後は銀行家たちが買い支え、下落率は約2%。本当の暴落は週明けで、27日は12.8%、29日は11.7%下げた。ところが、半年くらいで暴落前の水準に戻るのです。そこから本格的に下げて、32年には29年高値の10分の1に。

昨年3月、新型コロナへの懸念で世界的に株価が暴落したが、金融緩和で反転、今は暴落前を上回る水準です。実体経済とは乖離があり、いつ大暴落が起きてもおかしくない。それでも、備えがあれば大丈夫というメッセージです。

──「予知派」と「イノベーション派」に分けています。

暴落を予知した人として取り上げた、ケネディ大統領の父、ジョセフ・ケネディ、政界のフィクサー的存在だったバルーク、証券業界のたたき上げ、リバモアは暴落前に売り抜け、ケネディとリバモアはカラ売りで大儲けをしている。

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